天体撮影で「あと一歩が決まらない」原因の多くは、ピントの再現性と保持力にあります。特に冬場の温度変化や、カメラ/フィルター/OAG などで後端が重くなる構成では、接眼部まわりの剛性と操作性が撮影効率を大きく左右します。

今回は Oasis Astro の以下 2 点を、実写写真に沿って開封から取付けまでまとめます。

  • ε160ED 用フォーカサー改造キット FME130
  • 電動フォーカサー Rose

製品について

フォーカサー改造キット

フォーカサーの支持構造を見直すことで、ガタつきを抑えて安定性を向上させる改造キットです。電動化を見据えた機械構造になっているため、各社の電動フォーカサーを取り付ける際も作業がしやすく、特定メーカーに縛られにくい点も魅力です。将来的な拡張や載せ替えにも向いています。

本製品は ε130D/ε160ED/ε180ED/TOA-130NS/FS-60CB/FOA-60 に対応しています。ただし機種ごとに適合型番が異なるため、ご購入前に一度弊店までご確認いただければ安心です。

※現在、予約販売にて承っております。発売は来年年明け頃を予定しております。

Oasis タカハシ接眼部改造キット

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Oasis 電動フォーカサー Rose

Rose は角度分解能が非常に高く、一周回転あたり約 14,400 step という細かい制御が可能です。1 step は約 90 角秒に相当し、フォーカサーの前後移動に換算すると約 1〜2 µm 前後/step(※構成により変動)というイメージです。さらにクラッチ機構を備えており、手動・電動を素早く切り替えられます。ヒーターも内蔵されているため、低温環境での安定動作もサポートしてくれます。

今まで多数の鏡筒に対応でき、互換性についてご不明な点がございましたら、ご購入前に一度弊店までご確認いただければ安心です。

Oasis Focuser Rose 電動フォーカサー

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フォーカサー改造キット:開封〜組み立て

まずは箱全体から。梱包はしっかりしていて、輸送中も安心できそうです。今回は ε160ED 用の改造キット FME130 を取り付けてみます。

Oasis フォーカサー改造キットの外箱

箱を開けると内容物がきれいに収まっており、第一印象はかなり良いです。

Oasis フォーカサー改造キットの開封状態

それぞれの箱を開けてパーツ一式を取り出します。作業用レンチも付属しているのは嬉しいポイントです。小さなネジやワッシャーが出るので、作業前にトレーを用意しておくと安心です。

Oasis フォーカサー改造キットの付属パーツ

まず純正の接眼部を分解します。シャフトを固定しているアルミプレートを外し、中の真鍮プレートが見える状態にします。続いて真鍮プレートのネジを緩め、シャフトを取り出します。

純正接眼部の分解

次に、接眼部のシャフトから左右 2 つのノブを外します。

接眼部シャフトからノブを外す様子

改造キット本体にベアリングを入れて固定します。ここは締めすぎると回転が渋くなるので、軽く当てる感覚で加減するのがポイントです。

改造キット本体にベアリングを取り付ける様子

純正の接眼部から外したシャフトを、ベアリングが入っていない側から挿入し、そしてもう一つのベアリングをこの方向から取り付けます。

シャフトとベアリングの取り付け方向

改造キットを本体へ仮止めして、シャフトの位置合わせを行い、M3 のボルトを軽く締め込みます。

改造キットを本体へ仮止めする様子

付属のノブをシャフトに取り付けたら、最後に 4 本のネジで改造キットをしっかり固定します。このときノブを軽く回しながら、先ほどの M3 ボルトと 4 本の固定ネジでラックとピニオンの間隔を少しずつ微調整して、抵抗感を追い込んでいきます。最終的に、改造キットと本体の間に隙間が出ない状態にできれば完成です。

改造キットの固定完了状態

電動フォーカサーの開封〜取付

続いて、電動フォーカサー Rose を改造済みの ε160ED に取り付けてみます。オプションのアダプターを追加すれば純正の接眼部へも取り付け可能ですが、今回はこのまま改造キット側に装着します。

こちらもまずは箱全体からで、到着時の状態を記録しておきます。

開封すると本体や付属品がまとまっており、セット内容が一目で分かります。なお、固定用クランプなどは構成により別売となる場合があるため、鏡筒に合わせて用意します。

Oasis Focuser Rose の開封状態

まずノブを外し、改造キットに付属している A5 ギアと B8 アダプターをシャフトに取り付けます。

A5 ギアと B8 アダプターの取り付け

次に、クランプを電動フォーカサーに装着し、接眼部に差し込んでクランプを締めます。

Rose を接眼部へ取り付ける様子

これで電動フォーカサーの取り付けは完了です。鏡筒側にギアをあらかじめ取り付けておけば、クランプを外すだけで鏡筒間の移設がしやすくなります。

Rose 取り付け完了状態

Rose の特徴の一つがクラッチ機構です。手で OFF/ON を切り替えるだけで、手動・電動モードを素早く切り替えられます。特に鏡筒を箱に収納するときなど、手動で接眼部を引っ込められるのが便利です。

Rose のクラッチ機構

インターフェースは USB ポートと DC12V ポートの 2 系統です。内蔵ヒーターを使用する場合は DC12V 側が必要になりますが、今回はヒーターを使わないため USB 接続で試しました。

Rose の USB ポートと DC12V ポート

せっかく電動フォーカサーを取り付けたので、接眼部を鏡筒に戻して実際に撮影してみました。今回は Oasis 独自開発の制御ソフトウェアと N.I.N.A. を使ってオートフォーカスを実行しました。結果は以下の通りで、双曲線フィッティングもかなり綺麗に出てくれました。

N.I.N.A. でのオートフォーカス結果

改めて数値をまとめると、このフォーカサーは以下のような仕様です。

  • 1 回転あたり:約 14,400 step
  • 1 step あたり:約 90 角秒
  • フォーカサー前後移動に換算:約 1.5 µm 前後/step(ε160ED の場合)

もちろんピント合わせは「合ったように見える」だけでは不十分で、撮影では以下のような“繰り返し”が要求されます。

  • 温度変化でずれた分を戻す
  • フィルター交換でのオフセットを再現する
  • 自動フォーカスで最小 HFR へ詰める

Rose の高分解能は、この反復作業の成功率をしっかり底上げしてくれる印象でした。

まとめ

今回、タカハシ純正フォーカサーに改造キットを導入し、その上で Oasis 電動フォーカサー Rose を取り付けることで、ピント合わせの「安定性」と「再現性」が明確に向上しました。

改造キットはガタつきを抑えて剛性を高めるだけでなく、電動化を前提とした構造のため、将来的に他社 EAF へ載せ替える場合でも取り回しが良い点が魅力です。

Rose は 1 回転 約 14,400 step の高分解能で、ε160ED 環境では約 1.5 µm/step 程度の微細な制御ができ、オートフォーカスのフィッティングもきれいに収まりました。

温度変化やフィルター交換など、撮影中に何度も発生する「ピントの微調整」を確実に積み重ねたい方にとって、非常に心強い組み合わせだと感じています。将来的な拡張として、メーカーからは Bluetooth 制御にも対応予定と伺っており、今後のアップデートにも期待しています。