ToupTek D60 と Wanderer Cube50 を同時に公開しました。D60 は広視野撮影用の小型アストログラフ、Cube50 は RASA 前面でフィルター交換を行うための電動フィルターホイールです。
発売情報
- 発売日:2026年6月5日発売
- 発送予定:2026年6月24日より順次発送予定
- オンラインショップ:6月5日〜6月12日はオンラインショップで5%OFF
- 星の村天文台星祭り会場予約:星の村天文台星祭り会場でのご予約はさらに5%OFF、合計10%OFF
ToupTek D60 は、60mm口径、280mm焦点距離、F4.66、44mmイメージサークルの小型撮影鏡筒です。Wanderer Cube50 は、2インチ枠付き / 50mm枠なしフィルターに対応する、RASA 11/36向け5ポジション電動フィルターホイールです。
ToupTek D60
ToupTek D60 は、60mm口径、焦点距離280mm、F4.66の小型アストログラフです。小口径ながら F4.6 台の明るさを持つため、広い撮影範囲と露光設定を意識した撮影構成を組みやすい鏡筒です。
見るポイントは次の通りです。
- 口径:60mm
- 焦点距離:280mm
- 口径比:F4.66
- 光学構成:5枚構成のPAPO設計
- イメージサークル:44mm
- 作動距離:50〜58mm、推奨55mm
- 接続:標準M48、オプションM54
F4.66で広い写野を使う小型アストログラフ
D60でまず見るべき点は、60mm口径で F4.66 まで明るくしていることです。小型屈折鏡筒は F5〜F6 台の製品が多く、F4.6 台まで短くすると、周辺像やバックフォーカスの設計が難しくなります。D60 はその条件を、280mm焦点距離と44mmイメージサークルの撮影鏡筒としてまとめています。
鏡筒、接眼部、像面回転機構、アリガタが一つの撮影単位としてまとまっているため、カメラを付けて構図を決めるまでの構成を短くできます。
- 天体カメラで星雲や広い天域を撮る構成。
- 一眼レフ / ミラーレスを望遠レンズのように使う構成。
- 軽量な赤道儀や遠征装備に載せる構成。

光学構成:5枚構成のPAPO設計と内蔵フラットナー
D60の光学構成は、5枚構成のPAPO設計です。PAPO は、撮影用アストログラフとして色収差補正と像面の平坦化を一体で扱う光学設計で、D60では44mmイメージサークルをカバーします。
内蔵フラットナー設計のため、後ろに別体フラットナーを足して像面を整える構成ではありません。接続側では追加補正レンズを選ぶより、50〜58mmの作動距離内にカメラやフィルタードロワーを収めることが調整点になります。

光学評価:スポット、色収差、MTF、相対照度
D60は広い写野を使う小型アストログラフなので、中心だけでなく周辺で星像、焦点位置、コントラスト、明るさがどう変わるかを分けて見ます。4種類の評価図を、撮影構成を考えるときの確認点として整理します。
スポットダイアグラム
星像が焦点面でどれくらい小さくまとまるかを見る図です。中心RMSスポット半径は1.1μm未満、フルサイズ周辺では2.3μm未満とされ、周辺まで星像を小さく保つ設計意図が読み取れます。

軸上色収差
436〜707nmの波長域で、各波長の焦点位置が光軸方向にどれくらいずれるかを見る図です。D60では軸上収差0.05mm未満とされ、広い波長域で焦点位置を揃える設計です。

MTF
細部のコントラストをどれくらい保持できるかを見る指標です。10 cycles/mmで0.95以上、30 cycles/mmで0.85以上とされ、中心から周辺へ向かう変化を曲線で確認できます。

相対照度
中心から周辺に向かって明るさがどれくらい落ちるかを見る図です。44mmフルサイズ端で相対照度90%以上とされ、大きめのセンサーで広い写野を使うときの判断材料になります。

機械構造:接眼部、回転、拡張
鏡筒はCNC加工のアルミ合金ボディ、内壁の反射対策、収納式遮光フードを備えています。3インチ接眼部は30mmのストロークを持ち、手動調整だけでなく複数ブランドの電動フォーカサーにも対応します。
像面回転機構により、機材を外さずに構図を調整できます。多機能ハンドルとVixen式アリガタにより、鏡筒上部、側面、底部へアクセサリーを追加できます。

互換性・注意点:接続と使用上の注意
後端は標準でM48です。より大きな撮像素子や太い光路を意識する場合は、オプションのM54接続が選択肢になります。ここで重要なのは、カメラ、フィルタードロワー、OAGを足したときに50〜58mmの作動距離へ収まるかです。
天頂プリズムを入れて目視用に使う鏡筒ではなく、カメラを焦点面へ置く撮影用鏡筒として考えると構成を判断しやすくなります。

Wanderer Cube50
Cube50は、RASA 11/36などの主焦点式光学系に向けた5ポジション電動フィルターホイールです。主焦点式望遠鏡ではフィルター交換機構をカメラ前面の限られた空間に入れる必要があり、一般的なフィルターホイールでは外径、厚み、反射の扱いが難しくなります。Cube50はその前提に合わせた構造です。
見るポイントは次の通りです。
- 型番:WFC50
- ポジション:5ポジション
- フィルター:2インチ枠付き / 50mm枠なし
- 外径:114mm
- 光路長:60.3mm
- 重量:385g
RASA前面にフィルター運用を組み込む
RASAのような主焦点式望遠鏡では、カメラが鏡筒の前面に来ます。そのためフィルター交換機構も前面側に入れる必要がありますが、ここは副鏡遮蔽、バックフォーカス、カメラ外径が同時に効く場所です。これまで主焦点式望遠鏡に無理なく収められるフィルターホイールが限られていたのは、この条件が重なるためです。
Cube50は、フィルター交換、回転機構、チルト調整を薄い本体にまとめ、RASA前面でフィルターを切り替えるための構成として作られています。
- RASA 11/36の前面でフィルターを切り替える。
- 2インチ枠付き、または50mm枠なしフィルターを使う。
- 複数鏡筒やリモート撮影で電動制御する。

独自なサイドフリップ式構造
通常の円盤式ホイールでは、フィルター枚数を増やすほど外径が大きくなります。Cube50はサイドフリップ式にすることで、RASA前面に置ける外径を保ちながら5ポジションを確保しています。
4つのサイドフリップ式ポジションに、Lフィルター専用ポジションを加えた構造です。2インチ枠付きフィルターと50mm枠なしフィルターのどちらにも対応します。

追加遮蔽を抑える設計
RASAは前面にカメラとアクセサリーを置く光学系なので、そこに置いた機材の外径がそのまま遮蔽に関わります。Cube50の外径114mmは、RASA 11の副鏡径と同じ寸法です。既存の副鏡遮蔽の内側に収めることで、フィルターホイールを追加しても新しい遮蔽を作らない、という考え方です。
RASA 11では、バックフォーカス12.5mmのカメラなら追加アダプターなしで必要距離に合わせられます。RASA 36では、バックフォーカス17.5mm未満のカメラが対象です。

回転機構 / チルト調整
本体には手動の回転機構と3点式の後端チルト調整機構が組み込まれています。カメラの向きを変える作業と、センサー面の傾きを追い込む作業を、Cube50を装着したまま行うための構造です。
RASAのような短い口径比の光学系では、センサー面のわずかな傾きが星像に出やすくなります。チルト調整機構は、周辺星像を見ながら撮影系を追い込むための調整点です。

迷光対策:F2光学系の大きな光錐の頂角に合わせた内部構造
RASAはF2の非常に明るい光学系で、センサーへ向かう光錐の頂角が大きくなります。一般的な望遠鏡より内壁や段差に光が当たりやすいため、フィルターやカメラ周辺の反射が、ゴースト、虹状アーティファクト、不自然なハロ、フラット補正の不安定さとして見える場合があります。
Cube50は、RASA前面に置く機材として内部の迷光と反射を抑える構造を取っています。ここはスペック表だけでは分かりにくい部分ですが、F2光学系でフィルター運用を組むときには重要な確認点です。

ASCOM / 複数台制御
1台のPCに複数のWanderer Cube50を接続し、ASCOMドライバ上で個別に識別・制御できます。複数のRASA鏡筒を同時に動かす構成では、どの鏡筒のフィルターを切り替えているかをソフト側で分けて扱えます。
リモート撮影では、PC、電源、USB配線、撮影ソフト側のASCOM認識まで含めて一つの制御系として考えます。

互換性・注意点
Cube50はRASA 11/36向けです。HyperStarには対応していません。RASA 36では、バックフォーカス17.5mm未満のカメラを前提にします。Moravian C1xなど一部構成では、WandererAstroの追加アダプターを使います。